王子が恋した女神姫
これが、わかつきひかるの本気なのか……!?
はい、このブログに(表面上は)ものごっつそぐわない小説を取り上げます。でもみんな、ついてきてね(ヲイッ
さた、表紙を見ても分かる通りこれは女性向け小説となっております。美少女文庫の妹分とも言われている『ティアラ文庫』という、エロを含む女性向けを目指した文庫でして、したがってこれも一応女性向けとなっています。
読んだ人は分かるでしょうが、普段のわかつきさんとは一線を画する作風です。舞台は架空のファンタジー世界で、魔法も出ますしドラゴンも出ます。今までわかつきさんがこのような作品を書いたことがあるでしょうか? 否、ない!(反語
こう書いてしまうと普段のファンの方は敬遠してしまうでしょうが、それでもところどころにわかつきさんらしさが現れてます。
強い女性像とか、ヒロインたちの口調とか、恋ドレイとか、よくわかつき作品を読んでる人ならば「あぁ、ちゃんとわかつきひかるだ」と納得できる内容になっています。まぁ子宮頸管粘液は出ませんが。
※ちなみに「子宮頸管粘液」、ウチのパソコンじゃ一発変換できませんでした。どーでもいいですが。
では、具体的な内容に。
ざっくり言ってしまえば、サブタイトルになっている通り陰謀がメインとなっています。
王族や貴族なんかが出るファンタジーものによくある王位を巡る物語でして、それに主人公である町娘のマリエが紆余曲折を経て巻き込まれてしまうわけです。
その過程で、マリエは色々と不幸な目に遭うんですが(ガチで不幸なんですよ、今回)、強い意志を持ってそれらを乗り越えていく様は主人公然としていて格好良さすら感じます。よくゲームとかに出てくる、男に守ってもらうか弱い女性とは違う、まさに『戦う女性』です。
そして背景の練りこみも分厚いです。舞台となったラスパイユ王国の情景や設定はもとより、物語を動かす上で起こった戦争の動機やそうなった背景、そして伝承となった水の女神デスタロッサの力など、それらが上手に作用して物語がそつなくキレイに流れているのです。
正直上手く説明できない自分自身が歯痒いですが、きっと既読の方でしたら物語の強い練りこみに思わず脱帽してしまったことでしょう。「これがあのわかつきひかるなのか」と思ってしまったのはきっと私だけではないはずです。
我こそは真にわかつきひかるのファンなり! という同輩は表紙やレーベルで尻込みせず、手に取ってみてください。きっと驚かされると思います。
あぁでも、実用目的では買わないでくださいね。これに関してだけはそれは全くないので(エロがないわけではないんですけどね……)。