(美少女文庫)僕は妹サマには逆らえない
キレイな女の子(右)、いるだろ?
……男の娘なんだぜ、コイツ(挨拶)
さて、衝撃の事実から始まりましたレビューですが、購入の決め手になったのは有末つかささんのジャケットだったわけです。
各所の紹介文では「妹が兄を責める」そんな内容と報じられていました。
私がそれで思い出したのは、あの魔女がヒロインの『カワイイお兄ちゃんなんて大キライ!』※1です。あんな感じだとしたら、これはとんでもない爆弾を抱えてしまったことになるでしょう。
そう思い、私はこれを読み始めたんですが……。
結論から言いますと、これもある意味でかなりの「上級者向け」作品と言わざるをえないものです。
少なくとも、私はこれを美少女文庫入門には勧められませんね。
あらすじとしては、度を超したブラコンである瀬尾花凛(せのお かりん)が実兄である静を愛するあまり、自分から離れられないように奴隷調教する物語です。
調教なんて聞くと、美少女文庫的にはわかつきひかるさんの「恋ドレイ調教」とか巽飛呂彦さんの「ライト調教」とか思い浮かぶでしょうが、これはそんな生易しいもんじゃありません。
どちらかといえば「ツンマゾ!」2作目に相当するほどのハードさが、敢えて言えば近いです。あちらは物理的な調教に対し、こちらは精神的な調教と比較するべきでしょうか。
花凛様は相当のドSでして、静香は相当のドMなんです。普通の美少女文庫的には逆でしょうが、この作品ではそうなんです。こう書くとすごい陰湿な感じに思われるかもしれませんが、陰湿という感じはしませんね。
静は実妹に責めされ詰られ壊されることに快楽を覚える性的嗜好に染まってしまい、それを自ら望むようになります。嫌がっていないんですね。そして花凛様もそれに応えるように、思い切り静を調教します。
そんな素晴らしい言葉攻めの数々を、少しばかり抜粋してみました。
「ふふ。お兄ちゃんったら、やらしいんだぁ。こんなに射精して精子出したのに、まだエッチしたいの? どんな動物でも、精子出したら生殖活動終わりでしょ? お兄ちゃんおかしいよ?」
「やだ、お兄ちゃん、自分の精液舐めてるの? 変態だね。そんなことして美味しいの? 本当に壊れちゃったね」
∑( ゚Д゚)<ビクッ……「やだ、お兄ちゃん、自分の精液舐めてるの? 変態だね。そんなことして美味しいの? 本当に壊れちゃったね」
さて、今更ですが美少女文庫はエロ小説なわけですので、当然興奮できるポイントというものが存在します。この作品の場合、悶える静がそれに当たるわけですが、つまるところ悶えどころがヒロインではなく♂ということになります。よもや♂の痴態に興奮できる日が来るとは思わなんだ……。
ちなみに申し上げておきますが、妹攻めの兄受けは決してひっくり返りません。逆転ナシです。
なので、妹に調教されて悶える兄に興奮できない方には激しくオススメできません。
そして読後感なのですが(注:これ読んで一晩経ってます)、……読み終わった直後、私は思わず深呼吸してしまいました。自分がちゃんと正気でいられているかどうか確認したかったんです。
少なからず、読者は主人公と自分を重ね合わせてしまうことがあるでしょうが、そういう読み方をしているとこの作品の場合、徐々に花凛様に洗脳されてしまう危険性が大変高いです。
ぶっちゃけた話、これ読んでる間の私は変な気分になってました。少なくとも、平常ではなかったと断言できます。これほどまでに読み手の精神に干渉できる作品は、美少女文庫と言わず多くの書物の中でもほとんどなかったはずです。
なので、もしこれを買おうとしている方がいれば警告しておきます。
心してかかってください。
──総 評──
キャラクター:★★★★☆+
ストーリー:★★★☆☆
エロス:★★★★☆+
イラスト:★★★★☆+